Ukrainian combat ration


ウクライナ軍戦闘糧食


・ウクライナについて
 ウクライナはヨーロッパ東部に位置する国で、北はベラルーシ、北東と東はロシア、西はポーランド、南西はスロバキア、
ハンガリー、ルーマニア、モルドバと接し、南は黒海に面しています。首都はキエフで、国土の大半は平地から成っており、
気候は一年を通して穏やかな大陸性気候にも恵まれ、ヨーロッパの穀倉地帯と呼ばれる程です。過去にはソ連に加盟し、
東側勢力の一端を担っていましたが、1991年に独立を宣言。その後、現国名に改め独立国家共同体(CSI)に加盟しました。
また、1986年4月には人類史上最大の原発事故、チェルノブイリ原発事故が発生したという過去もあります。軍制については、
旧ソ連軍の一部を継承するという形で、現在は陸軍・海軍・空軍の三軍種からなる独立軍を保有しています。

 次に食文化についてですが、日本で一般的に「ロシア料理」と思われている「ボルシチ」等の料理は、実はウクライナが
発祥地といった風に洗練された食文化を持つ国です。また、ウクライナは周辺諸国であるロシアやベラルーシの食文化とは一線を
画した、独特の食文化を持つ国であるとも言えます。まず、ウクライナでは、豚肉・獣脂(ラード、ヘッド)・ビート・小麦等を多く使う
傾向にあり、尚且つ、それらのうち一つを骨子として、他様々な材料を火加減を組み合わせて調理していく特殊な調理法をとります。
先に述べた「獣脂」の使い方も実に多様で、その中でも豚の脂身「サーロ」は最も好んで使われており、主に生、塩漬け、煮、
燻製、炒めて食べられたり、調味料、料理ベースとして使われますが、脂身の無い豚以外の肉に挟んだり、砂糖や糖蜜と
組み合わせてデザートとしても食べられたりします。他にウクライナ料理で忘れていけないのは、「粉もの」です。主に小麦が使用
されるのですが、加えてソバやライ麦、きびも多く使用されています。また野菜も好まれており、特にビートはウクライナにおける
ソウルフードと呼べる程のもので、生だけでなく塩漬けとしても食べられています。他には、大豆やレンズ豆、インゲン豆といった
豆類、ニンジン、カボチャ、トマト、トウモロコシ、ジャガイモも広く利用されており、ジャガイモに関しては、ベラルーシ料理のように
「主食」的な意味合いは持たず、他の野菜類と同様に「付け合わせ」として、例えばメイン料理の付け合わせとして、その脂を
吸わせて食したりとか、更にはデザートの菓子を作る際に使用されます。最後に、ウクライナは料理と共に昔からワインの名産地
としても知られ、クリミア半島にあるワイナリー"マサンドラ"のワインは絶品で、世界的に有名ということも付け加えておきます。

・ウクライナ軍戦闘糧食

ウクライナ軍戦闘糧食
Загальомвiйсьоовий
Набiр Сухих Продуктiв
・Date
 大きさ:縦220mm×横325mm×高さ75mm
 保存期間:約2年半

 ウクライナ軍で使用されている戦闘糧食なのですが、ロシアのトレー入りタイプと良く似た形をしており、こちらも朝・昼・夜用と三つに
分かれた、豆腐パックを少し硬くしたような材質のトレーに、各糧食が封入されています。ロシア軍との相違点は、取っ手がついていない
こと、各パックを分割できるようトレーに切れ目が入っていることです。更に、パッケージ上面の封はロシアのはビニールでされている
のに対し、ウクライナのは金属箔でされている、ということも挙げられます。色彩的にもトレーの色はロシアのものと似た明るいグリーン
なのですが、パッケージ上面の封には迷彩柄のデザインがされており、更に兵隊を思わせるシルエットのマークもデザインされて
いることから、いかにも「軍用」な雰囲気を醸し出しています。

 しかし、耐久性という面では些か問題があり、パッケージの材質というのがロシアのものより幾分か固いので、ぶつかった際には
パッケージが凹んでしまうよりも先に、割れてしまいます。加えて、金属箔にて封がされているという点においても、ちょっとした衝撃で
穴が開いてしまうので密封性にも問題があります。更にこの金属箔による封がなされる際、熱によって圧着させているようなので、
その影響で内容物のビスケットパックの袋が熱で溶けて、穴が開いてしまうという事態が多く確認されています。

※裏側からの写真です。
各トレーには「朝」「昼」「夜」の表記があります。

 次に内容物についてですが、構成的にはロシアのモノと殆ど変り無く、カーシャや肉缶、乾パンのようなクラッカーやパヴィドラ(ジャム)
が入っています。ただ、ロシアのメイン缶はソフト缶なのに対し、ウクライナのメイン缶は通常の缶詰が使用されています。このメイン缶と
パテ缶を筆頭に、内容物には市販品がいくつか流用されていますが、クラッカーやジャム、チャイやジュース、砂糖に関しては、金属箔の
封と同じ迷彩柄デザインのパッケージで、この糧食専用の物が使用されています。

Contents -内容物紹介-
・朝食パック
 乾パン×2
 ソバの実のカーシャ
 パヴィドラ(ジャム)
 チャイ
 キャンディ×2
 カトラリー類
・昼食パック
 乾パン×2
 魚介缶
 ミートパテ缶
 パヴィドラ(ジャム)
 チャイ
 砂糖
 キャンディ×2
 カトラリー類
・夕食パック
 乾パン×2
 大麦のカーシャ
 ミートパテ缶
 粉末ジュース
 砂糖
 チキンスープ×2
 ビタミン剤
 カトラリー類
※現在魚介缶には「サーディン」、「ハクレン」が確認されており、種類があるものと思われます。

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