Introduction for Russian combat rations
ロシア軍 - 個人用糧食
Индивидуальный рацион питания
・ロシア軍戦闘糧食について
1、通常糧食
・Индивидуальный рацион питания-боевой(ИРП-Б)
- 個人用糧食、戦闘用(IRP-B)
・Индивидуальный рацион питания-повседневный(ИРП-П)
- 個人用糧食、日常用(IRP-P)
よく、戦史や小説等でロシア軍(主に旧ソ連軍)の補給の悪さがネタ扱いされていますが、現在のロシア軍では
流石はアメリカと比肩する軍事大国だけあって、使用する目的・場所に応じて様々なタイプの糧食が用意されています。
メニュー数は少ないものの、その種類の多さ、面白さはアメリカと同等もしくはそれ以上にすら思われます。
まず、米軍におけるMREのようなロシア軍の通常糧食というのが、我々がよく見かける3つに別れた、取っ手付トレーに入った
Индивидуальный рацион питания-боевой(ИРП-Б)です。これは、訳すと
「個人用糧食 戦闘用」という意味で、その名の通り演習や実戦時において、主たる携帯用個人糧食として使用されます。
で、このИРП-Б(以下IRP-B)には数は少ないですが、箱入りのタイプの存在も確認できています。
次に、ロシア軍で使用されている通常糧食にはもう1種類あり、こちらは通常箱入りのタイプとして確認されることが多い、
Индивидуальный рацион питания-повседневный(ИРП-П)というタイプです。
これは訳すと「個人用糧食 日常用」という意味で、IRP-Bのように実戦時だけでなく、平時基地等ににおいて何らかの理由で
温食が供給できなくなった場合、非常食として使用されたりもする汎用性の高い糧食です。しかし、基本的には「非常食的」な
意味合いが強いので、数としてはそう多くは作られていません。
そして、このИРП-П(以下IRP-P)とIRP-Bを比較してみると、IRP-Pの方がIRP-Bよりも量が多く、尚且つIRP-Bでは
ソフト缶が使用されているのに対し、IRP-Pでは通常の缶詰が使用されています。ソフト缶に加えて、IRP-Bは基本3分割された
豆腐パックのような材質のトレーに入っているのですが、このようなパッケージングだと耐久性的には問題があるにしても、
使用後にはソフト缶だと簡単に潰すことができますし、各トレーを切り取って潰すことによって残りの糧食及びゴミの嵩が減るので
その分実戦時に箱入りタイプのIRP-Pよりは有利になると考えられます。
また、IRP-B及びIRP-P共々に数多くの民生版が存在するのですが、基本的にIRP-Pの方が多く民生版を確認できています。
参考までに、確かな正規軍用の物には「赤い星」のマークが入っているので、これが判別のポイントとなります。ただ、民生版と
思っていても実は軍でも使用されていたりと、イマイチはっきりしないのがロシア軍糧食。上記の判別方式はあくまでも参考として
頂きたい次第です。
2、特殊型糧食
・Индивидуальный рацион питания боевой(ИРП-Бл)
- 個人用糧食、戦闘用軽量型
・Малогабаритный рацион питания(МГРП)
- 軽量型糧食(MGRP)
・
・Рацион питания промежуточный повседневный
- 間食用糧食、日常用
・
・Рацион питания групповой суточный на 10 человек
- グループ用糧食、10人用
a.軽量型
先にも書きましたが、ロシア軍では用途に応じて各種糧食が用意されています。次はこの各種特殊型糧食について見て
いきましょう。
まず、最初に述べたロシア軍の通常糧食IRP-Bは3分割されたトレーに入っているのが普通なんですが、2006年あたりから
分割されていない1つのトレーに、内容物全てが詰め込まれているタイプが登場しました。IRP-Pにも同型のものが存在する
ようですが、後々調べていくと、製造元の情報によれば軽量型というかコンパクト型の糧食だということが判明しました。
更にこれの応用版として、山岳部隊用の軽量糧食が登場しています。この山岳部隊用の軽量糧食は、通常のパッケージングとは
違い、トレーの封であるフィルム表面にその名の通り山岳地帯の写真が印刷されています。
この軽量型の糧食には他にも種類が存在し、上記の軽量型よりさらに計量化されたもので、大きさ的には通常のIRP-Bのトレーの
上半分の大きさなんですが、中にはソフト缶2缶を筆頭にギッシリと内容物が詰まっています。こちらは、偵察やパトロール時、落下傘
部隊や、航空機による輸送時に配給されます。
写真:ロシア軍軽量型糧食 |
b,海軍
次に、主に海軍で使用される糧食として、小型舟艇乗員用糧食・舟艇用非常糧食があります。これらはその名の通り、軍の大型
艦船から小型船舶、魚雷艇等に非常用糧食として搭載されています。「小型舟艇用〜」は軽食程度の内容物しか入っていませんが、
「舟艇用〜」の方は流石非常用と銘打っているだけあって、内容物には飲料水まで入っています。これらは、先にも書いたように、
あくまでも非常用糧食という扱いであって、平時の食事には艦船の調理場で作られた温食が供給される、あるいは通常糧食各種が
使用されているものと考えられます。
写真:舟艇用非常糧食 |
c.空軍
主として空軍で使用されている糧食も、海軍で使用されているものと同じで非常用糧食として使用されています。航空機及び
ヘリコプタークルー用糧食は、通常糧食IRP-Bの上半分を切り取ったような小型のものですが、予備役用のものは、鮮やかな
空をイメージしたデザインの大型の箱に、通常糧食の1.5倍の量はあるかと思われる内容物が詰め込まれています。そして、その
鮮やかな空をイメージしたデザインの箱には、ロシア軍の戦闘機「Su-27」の写真が印刷されています。ちなみに、この予備役用
には、先勝60周年記念タイプも存在しています。
航空機・ヘリクルー/予備役用 | 航空機・ヘリクルー用 |
d.宇宙軍
ロシア軍において特徴的なのが、この宇宙軍で、主に対ミサイル防衛、人工衛星の開発・維持を行っている部門です。以前、
この宇宙軍で使用されていると言われる糧食を入手したのですが、どうも民間用っぽく、情報も無いのでいまいちはっきりとした
ことは分かりません。しかし、ロシアで使用されている宇宙食には様々な種類があり、その中にはいかにもロシアらしいウォッカまで
用意されています。
宇宙軍用(?)糧食 | 宇宙食用ウォッカ |
※以下執筆中
e.加給食
f.多人数用
g.戦勝記念用
3、民生版・その他糧食
4、ソビエト軍糧食
5、追加情報